世界で大きな話題となっている、自然言語AI「ChatGPT」。
私もさわってみましたが、その自然な文章生成には非常に驚きました。人間が書いているとしか思えない部分も多く、人間が多少手直ししたら絶対にわからないほど自然です。
そしてさらに驚いたのは、プログラムを組めてしまうのです!
たとえば「ボールが転がる速度をsとし、ゴールgに到着する時間nを求めるPythonプログラムを作って」と質問します。
過去のAIでは、この答えが返ってくることはありません。まずs、n、gが変化数であることもわからず、もちろんそれらを「式にする」という作業が行えません。文中の文字が変化数であることを認識した上で、さらに論理的にs、n、gをうまく並べ計算できるように置き換える、この全てができません。ましてやその式を元に、Python(プログラム言語)にするなんて、まさにファンタジーやSFの世界でした。
しかしChatGPTは違います。
上記質問をすると、まずその問題文が何を求めたいのか、解説を出してきます。
以下は、与えられた速度sと距離gから到達時間nを計算するPythonプログラムです。
さらにその解説に従い、プログラムコードをコメント付きで書き出してくるのです!
ChatGPTは実際に以下のようなプログラムを書き出しました。編集せずに掲載しています。
import math
# ボールの速度sとゴールまでの距離gを入力
s = float(input("ボールの速度を入力してください(m/s): "))
g = float(input("ゴールまでの距離を入力してください(m): "))
# ボールが到達する時間nを計算
n = math.sqrt(2 * g / s)
# 結果を出力
print("ボールは{}秒でゴールに到達します。".format(n))
このコードは実際に動きます。
また、sを「m/s」、gを「m」として、人間にわかるように単位を指定している部分も完璧です。「単位」を忘れていた部分さえ補完してくれています。
ただし肝心の計算部分で、なぜかmath.sqrt(平方根)を持ち出したのかは疑問が残るところですが、このあたりがまだAIが”おちゃめ”な部分と言えるかもしれません。
以下は私の環境で動かした結果。
私が期待したのは、(あらゆる抵抗がなく)動くボールの単純計算で「3秒」という答えでしたが、平方根の計算のおかげですごい少数が出てきています。
でも、これでいいのです。
こういった想定外の部分を人間が修正すれば、わずかな手間で使えるようになるのです。
そしてこの共同作業こそが、これからの時代のベースとなるでしょう。
プログラム技術や学業はムダになるのか?
こういった先進的ですごいシステムが出てくると、必ず議論に登るのが「いま現在の技術は全てムダになる」という極論です。
もちろん局所的に見れば、上記程度のプログラムしか組めないプログラマーは職を失うでしょうし、さらに進化すれば数学者の立場も危うくするかもしれません。
ですが、「求めるものに対して何が正しく、答えを求めようとしている式は正しいのか?」を判定するのは、あくまで人間です。プログラムで言えば、お客様の求める結果にしっかりコミットしているか、です。
現実の問題から、AIが理解できる質問に置き換えること。それは、自分の頭や心の中に「知識」と「軸」があるかどうかで決まると思うのです。
その軸こそ、勉学や人との交流、自ら求めた技術によって養われるものだと、私は考えます。
AIの本格活用の時代こそ、「自分自身」が必要
現状を知るからこそ、その先があります。現在の知識を学ぶことで、初めて未来へ活かせます。
AIによって中間がふっとばされた技術はどう進化するのか。はたまた、50年前に解決済みの問題を現代に復活させてしまうのか、興味は尽きません。
そんな時代が進みつつあることを知り、そしてその中で自分は何が出来るのか?何をしたいのか?現代より「自分自身の見直し」が必要になる時代になるなと感じています。